スキップしてメイン コンテンツに移動

投稿

2017の投稿を表示しています

「勝手にふるえてろ」綿矢りさ

どんどんマッドになっていくOLさんを松岡茉優がどんな風に演じているか期待。視野見したい。映画では表題が印象的な決めゼリフになっているみたいだが、原作でどんなシーンだったか忘れた。

「サラバ!」西加奈子

主人公、うずまきの中心は姉で、この物語を書いている神であるところの僕も姉なのだろう。だからこれ、フツーに映像化したらダメだと思った。ケリー・リンクのようなトリッキー、寓話感なかんじ。

「超発明」真鍋博

ブレストの前に眺めているといいかも。絵と言葉を一緒に考える練習。蔓性ロープ、三次元鉛筆、昼行灯、オプション側頭葉ってどうよ。 文庫版解説はAR三兄弟 川田十夢。こんな固い文章を書く人だったっけ?

「君たちはどう生きるか」吉野源三郎

岩波文庫版で。コペル君が言う「人間分子の関係、網の目の法則」って戦後の経済学で言う「社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)」ですよね。色褪せない名著。1937年作。マガジンハウスの編集者のセレクト感もすごい。松田道雄「育児の百科」あたりが次に来ると見た。

「洛中洛外画狂伝」谷津矢車

目の前に白い紙があり、天と地の間に自分がいる。 そして、天と地の間で、ただ己が筆を振るうだけ。 歴史小説ニューウェーブ。他に和田竜、木下昌輝、冲方丁とか。町田康「ギケイキ」はノーウェーブかな。

『ブレードランナー 2049』

かなりモヤモヤしながら観ましたけれど、これは続編ではなく翻案だと思えば確かにアリ。エイリアンでいうと「2」と「3」を飛ばしていきなり「4」かよっていう。 ナボコフの引用とか、そういや『メッセージ』まだ観てないなとか。 「WIRED」の池田純一のレビューで腑に落ち。 https://wired.jp/2017/10/28/blade-runner-2049-review-ikeda/

「たったひとつの冴えたやりかた」ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア

まさか泣ける話だとは知らずに読みはじめたので不意打ち。壮絶な死の1年前、70歳の著作。覚悟がキマってる。The only neat thing to do. 主人公は16歳の女の子。でもこれ、老人に向けたメッセージですよね。NEETじゃなくて、Neatだよ。

SFマガジン700より〜「いっしょに生きよう」ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア、「小さき供物」パオロ・バチガルピ

フェミニズムとSF。女々しくて。 で、「たったひとつの冴えたやりかた」を読もうかなと。 ちなみに「江戸の花」ブルース・スターリング。尊王攘夷と円朝と芳年。マッチョイズムとアート。

『ヴィジット』

確かに子どもにとってじいさん、ばあさんって、暗黒からの使者。あいつら一体何者なんだ、きっと生まれたときから、じいさん、ばあさんっだったに違いない。とか言って。

「死の鳥」ハーラン・エリスン

映画化よりPS4化の方が合ってるんじゃないか。と思って調べたら「おれには口がない、それでもおれは叫ぶ」が96年にPCゲーム化されておりました。iOSアプリの復刻版も発見。

脱走と追跡のサンバ

ヒップサイケデリック!延々続くフリージャズのようでもあり。 疲れている。 って書き出しが多分、書き出しベスト3に入りそう。 それがおれの弱みなのだ。 それが、おれの弱みなのである。 のグルーヴ感。 あとは怒涛のみすず学苑、ビューティフル・ドリーマー。 余命ももはや七行足らず、 ってな長広舌はやっぱりかなりヒップ。

「人殺し」の心理学 デーヴ・グロスマン

第二次世界大戦で前線に送り込まれた陸軍兵士のうち実際に発砲したのは15%ないし20%でしかなかったという箇所が広く知られている著作。一方ベトナム戦争において、条件付けと訓練によって90%ないし95%にまでになった事実も明かされていることは衝撃的。その秘密は脱感作にあり。数々のハリウッド製ベトナム戦争映画で観たのはそれだ。 責任の分散と集団免責、倫理的距離、社会的距離、文化的距離、集団との近接、服従を要求する権威者、合理化と受容のプロセスなどの条件が揃った時、残虐行為は増幅する。湾岸、アルカイダ、イラク、IS、いつまで経ってもエンドレス。 これは何も戦争だけに限った話ではない。 リビングでは高校生の息子がPS4でDARK SOULSやらRainbow Sixやらをプレイしている。

「狭小邸宅」新庄耕

課長が言う「自意識が強く、観念的で、理想や言い訳ばかり並べ立てる。それでいて肝心の目の前にある現実をなめる」「わかった気になってそれらしい顔をする」。それを超えてようやくスタート地点に立てる。まともな仕事人になれる。了解です。その上で、こだわるな、逃げろと言っているのだなというのが、最後のパラグラフについてのわたくしめの解釈。お疲れさまです。

沢木耕太郎ノンフィクションVII「1960」所収「危機の宰相」「テロルの決算」

再評価されているケインジアンのひとり、下村治に興味を持って手に取ったが、中身は沢木耕太郎節の群像劇。「危機の宰相」、まさか最後に三島由紀夫につながるとは。当時の日本の政治経済に「世界の静かな中心であれ」と警鐘をならした言葉は観念であるが今の世相にも刺さるものがあるような。「テロルの決算」、浅沼稲次郎と山口二矢それぞれの、親子の描写にすべてが収斂されていくのはやはり沢木節ゆえか。胸を打つというか刺す。

「帳簿の世界史」ジェイコブ・ソール

じゃ、ブロックチェーンで、国も企業もエライ人も、ご家庭も、完璧な透明性を備えた会計責任を実現しようではありませんか。まともな未来への示唆を、古典にあたることで与えてくれる誠実なる良書。 14世紀のルネッサンス期に発明された複式簿記、17世紀フランスの借金王国と18世紀イギリス、アメリカの商業国家のバランスシート、近年の軍産複合体、金融、会計の修復不可な腐敗。最後の審判、清算の日はFin-Techによってアレするのでしょうかね。