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タイタン、ブルシットジョブ、あるノルウェーの大工の日記

仕事について考える何冊みたいなことで、VALUE BOOKSが選んでいた本。見事な選曲でございました。 「タイタン」野崎まど ロボットの憂鬱は銀河ヒッチハイク・ガイドとか、古典ネタなのかもだが、ズラし方がいい。人類から労働がなくなると、趣味の研究者が生まれるという話はブルシットジョブにも実話として出てくるシンクロ感。 読みながら映画化したときのキャスティングが浮かんでくる系の作品でもある。ナレイン: 阿部寛、内匠: 象印三姉妹の次女、奈緒さんとかどうでしょう。 「ブルシットジョブ」デヴィッド・グレーバー アナーキスト人類学のための断章のデヴィッド・グレーバーの著作である。皮肉に満ち満ちた慎重な言葉選びと人類学的アプローチで、一見ぶ厚い装丁だが一段組360ページ+原注30ページほどで軽く読める。 BSジョブの体験談をカットアップするDJさながらの小気味よい展開。 なぜBSジョブを告白する人々がいるのか、どのように生み出されているのか。一方、リアルジョブに支払われるギャラが相対的に低く、事態はコロナ禍でますます悪くなるのに放置されているのはなぜか。 解決の道すじのひとつとして、アナーキズム学者の観点で、ベーシックインカムが最後に取り上げられる。これはタイタンで描かれた世界だ。 「あるノルウェーの大工の日記」オーレ・トシュテンセン 職人の仕事には何も神秘的なものはない。依頼があってはじめて存在するものだ。みたいなことが、はじめに語られる。 屋根裏のリフォーム案件を受注してから納期を迎えるまでの素朴で簡潔な筆致のエッセイである。 そこには信頼関係、透明性、公正さなどの観点が示されており、商品価値や労働価値への批判精神と、使用価値つまりリアルジョブへの敬意が描かれており、人の心に響いているのだと思った。北欧発ってのが、っぽいかんじがする。