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「生命科学的思考」高橋祥子

遺伝子レベルで全人類は同質(ヒト・ゲノムの99.9%が同じ)であり、かつ(残りの0.1%において)レアで多様性に富んでいる。 肌の色や性別などの認識しやすい属性でグルーピングすること自体が、生物学的に無意味。 Wired 「 THURSDAY Editor's Lounge 」でのトークが面白かったので購入した一冊。 🧬 メモ 「利己的な遺伝子」 リチャード・ドーキンス Conviviality 自立共生 イヴァン・イリイチ 生命とは「負のエントロピー」を食べるもの シュレーディンガー

タイタン、ブルシットジョブ、あるノルウェーの大工の日記

仕事について考える何冊みたいなことで、VALUE BOOKSが選んでいた本。見事な選曲でございました。 「タイタン」野崎まど ロボットの憂鬱は銀河ヒッチハイク・ガイドとか、古典ネタなのかもだが、ズラし方がいい。人類から労働がなくなると、趣味の研究者が生まれるという話はブルシットジョブにも実話として出てくるシンクロ感。 読みながら映画化したときのキャスティングが浮かんでくる系の作品でもある。ナレイン: 阿部寛、内匠: 象印三姉妹の次女、奈緒さんとかどうでしょう。 「ブルシットジョブ」デヴィッド・グレーバー アナーキスト人類学のための断章のデヴィッド・グレーバーの著作である。皮肉に満ち満ちた慎重な言葉選びと人類学的アプローチで、一見ぶ厚い装丁だが一段組360ページ+原注30ページほどで軽く読める。 BSジョブの体験談をカットアップするDJさながらの小気味よい展開。 なぜBSジョブを告白する人々がいるのか、どのように生み出されているのか。一方、リアルジョブに支払われるギャラが相対的に低く、事態はコロナ禍でますます悪くなるのに放置されているのはなぜか。 解決の道すじのひとつとして、アナーキズム学者の観点で、ベーシックインカムが最後に取り上げられる。これはタイタンで描かれた世界だ。 「あるノルウェーの大工の日記」オーレ・トシュテンセン 職人の仕事には何も神秘的なものはない。依頼があってはじめて存在するものだ。みたいなことが、はじめに語られる。 屋根裏のリフォーム案件を受注してから納期を迎えるまでの素朴で簡潔な筆致のエッセイである。 そこには信頼関係、透明性、公正さなどの観点が示されており、商品価値や労働価値への批判精神と、使用価値つまりリアルジョブへの敬意が描かれており、人の心に響いているのだと思った。北欧発ってのが、っぽいかんじがする。

「1984年に生まれて」郝景芳

宇佐美りんの次に読んだ、これまた圧巻であった。 自己を見つめる哲学書であり、親との葛藤を描いた純文学であり、メタSFであり、時にふぞろいの林檎たちであり、解体屋外伝である。 償いは完遂することはない。過去に寛容であれ。今日を生きよう。自嘲して何が悪い。てなことを思いましたナ。 「折りたたみ北京」と併読。これに収められている夏笳、糖匪、程婧波といった女性作家の作品もいい。みな 1883-1984 年生まれっつうのも面白い。